仕事柄、この時期には休日出勤することが多くなります。
私の事務所はオフィス街にありますので、休日は営業していない飲食店が多く、どうしても昼食に困ります。
そんな時、宅配弁当で有名なF社をよく利用します。
一昨日もF社を利用したのですが、価格が5%程度値上げされていました。
身近なところでも、確実に物価上昇は進んでいるようです。
通常の場合、物価上昇(インフレーション)には景気拡大が伴います。
需要が供給を上回り、価格上昇により調整されるためです。
逆に物価下落(デフレーション)には景気後退が伴います。
供給が需要を上回り、価格下落により調整されるためです。
20世紀で最も偉大な経済学者の一人であるケインズは言っています。
「不況時には、公共工事の増加・減税などの財政政策や公定歩合の引下などの金融政策で需要を押し上げることにより、景気を回復させることができる」と。
それでは、現在の日本はどのような状況なのでしょうか?
結論から言いますと、現在の日本の状況は、上記のいずれにも該当しません。
物価が上昇していることに関しては疑問の余地はないのですが、景気に関しては拡大局面にあるとは思えません。おそらく、景気は後退局面か停滞局面でしょう。
つまり、現状は景気が拡大していないにもかかわらず、物価が上昇している状態です。
この状態は「スタグフレーション」と呼ばれています。
スタグフレーション下では、どのような経済政策も無力となります。
景気を拡大させる政策は更なる物価上昇をもたらし、物価を低下させる政策は景気を悪化させることとなるからです。
そもそも、今回の物価上昇の原因は、原油価格の急激な上昇にあります。
しかし、原油価格が急騰したのも、原油の実際の需要が急激に増えたからではありません。
原油の先物市場に、莫大な投機的資金が流入したからなのです。
この点に関して、私は悲観視していません。
短期的には先物市場に価格が牽引されることがあっても、中期的には実際の需要と供給のバランスにより調整された価格に落ち着くからです。
その結果、ある程度の水準まで原油価格は低下し、物価水準も安定するでしょう。
ただ、経済発展の著しい中国やインドが現在のペースで原油消費量を増加させていくと、代替エネルギーを開発しない限り、長期的には原油価格が徐々に上昇するのは確実です。
税理士法人信和綜合会計事務所(大阪の税理士)
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