粉飾決算にも様々な手法があります。
一般には、架空の売上計上や、在庫の水増計上など、会社の実態を故意に歪める悪質なものだけが粉飾と考えられがちですが、回収不能の債権に対する引当金の未計上や減価償却の未実施なども粉飾に該当します。損失または費用が発生している以上、その期間の利益計算に反映させることが、企業会計では要求されているからです。
特に、減価償却の未実施に関しては、法人税法では各期間で償却限度額以下であれば何時償却しても問題なく、また、利益もないのに償却を行っても税額を減らす効果が期待できず、会社にとって不利益となる場合があるため、粉飾とは考えたくないとの意見があると思います。
しかし、決算は会社のため、または、税金申告のためだけに行うものではありません。むしろ、株主や債権者を含む利害関係者全般のために行うべきものですので、正しい利益計算が要求されるのです。
また、減価償却の実施こそが設備投資資金の回収であり、将来の設備投資に備えることになるため、会社の維持発展のためには必要不可欠なコストであると思います。
なお、現行法では、償却を行った結果として欠損金が発生した場合でも、青色申告法人であれば7年間の繰越控除が認められていますので、将来の税額を減らす効果は期待できます。
弊事務所では、お客様の予算設定や月次決算において、減価償却費の仮計上(月割り)を行うことにより、減価償却費にもコスト意識を持っていただいております。
大阪市中央区の信和綜合会計事務所
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