仕事柄、株価鑑定や民事再生の調査などで、日常の税務業務で関与していないお客様の決算書や申告書を見る機会があるのですが、時には、不適切な会計・税務処理に気付くことがあります。
中でも、かなりの確率で問題があるのが、不動産に関する仲介手数料の処理です。
今回は、不動産業者に支払った仲介手数料の処理についてまとめてみたいと思います。
(不動産の売却について支払った仲介手数料)
A.土地の売却の場合:支払手数料として費用処理する
B.建物の売却の場合:支払手数料として費用処理する
(不動産の取得について支払った仲介手数料)
C.土地の取得の場合:土地の取得価額に加算する。
D.建物の取得の場合:建物の取得価額に加算する。
(不動産の賃借について支払った仲介手数料)
E.土地の賃借の場合:借地権(無形固定資産)の取得価額に加算する。
F.建物の賃借の場合:支払手数料として費用処理できる。※
※(参考)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5460.htm
<ポイント1>
不動産の売却時の仲介手数料以外で支払時に費用処理できるのは、建物の賃借時の仲介手数料だけです。
<ポイント2>
土地・借地権は非償却資産ですので、CとEの仲介手数料相当額は減価償却できません。
特に、EやFを税務上の繰延資産(会計処理上は「長期前払費用」)として5年で償却している事案が散見されます。
黒字法人の場合、不動産に関する仲介手数料が「長期前払費用」になることはありませんので、ご注意ください。
信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)
http://www.shinwa-ac.net/
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