個人事業から法人事業への転換、いわゆる「法人成り」を検討されている方から、法人成りのメリットとデメリットを質問されることがあります。
まずは、法人成りのメリットとデメリットについて、主なものを列挙したいと思います。
<法人成りのメリット>
①信用力が高い(融資・人材募集に有利)
②出資を限度とする有限責任
③節税効果
④公私区分による財産管理
<法人成りのデメリット>
①経理事務の複雑化
②社会保険への強制加入
③均等割税額(赤字でも一定額の税額発生)
④交際費の一部が損金不算入
以上のようなメリットとデメリットがありますが、法人成りを決断される方にとっては、やはり「③節税効果」が決め手となっていることが多いようです。
具体的には、以下が主たる節税効果です。
・最高税率が低い(法人:約40%、個人:約50%)
・大きな給与所得控除(給与600万円の場合、174万円所得圧縮)
・欠損金の繰越控除(法人:7年、個人:3年)
・減価償却の計上時期(法人:限度額まで任意、個人:強制)
一般に、所得が600~700万円以上であれば、法人成りが有利といわれています。
しかし、私はそのようには考えていません。
確かに、所得が600~700万円以上あれば単年度の税額は少なくなりますが、その所得水準をその後の年度で継続できないのであれば逆効果となる可能性があるからです。
また、上記の節税効果は現行の税制での算定額ですので、今後もメリットを継続して受けることができるかは不明だからです。
節税効果だけで法人成りを考えるのであれば、継続して所得1000万円以上が見込めることが必要ではないかと私は考えています。
ただ、私どもが会社設立をサポートさせていただいた方の中には、法人事業に転換して良かったこととして、「④公私区分による財産管理」を挙げられる方が意外に多いです。
もちろん、節税効果による手取額の増加もあるかとは思いますが、会社のモノと個人のモノを明確に区分することは、財産管理上も大きな意味があると思います。
自由に使えるお金と使えないお金を区分するだけで、お金は残っていくものなのかもしれません。
信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
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