法人が支払う税金にもいろいろなものがあります。
そのうち、都道府県や市町村に支払う法人市民税には「均等割」という税金があります。
均等割とは、事業所を設置することに対して課税される税金であり、黒字であっても赤字であっても関係なく、期末の「資本金等の額」に応じて一律に課税されるものです。
大阪府の場合、均等割税額は以下のように定められています。
①資本金等の額が1千万円以下:20,000円
②資本金等の額が1億円以下:75,000円
③資本金等の額が10億円以下:260,000円
④資本金等の額が50億円以下:1,080,000円
⑤資本金等の額が50億円超:1,600,000円
営業所や支店が全国にあるような法人の場合、それぞれの自治体で均等割は課税されますので、かなり大きな負担になります。
ここで注意すべき点は「資本金等の額」なのですが、単純に資本金・資本準備金の合計ではありません。
簡単に言いますと、「資本金等の額」とは過去に資本として払い込まれた金額の合計額なのですが、具体例で考えることにしましょう。
さて、ここで問題です。
次の場合の均等割税額はいくらになるでしょうか?
(問題1)
期首資本金:120,000,000円
期首資本準備金:20,000,000円
期中に欠損填補のために資本金50,000,000円を減資して期末資本金を70,000,000円にした場合
(問題2)
期首資本金:8,000,000円
期首資本準備金:なし
期中に利益剰余金22,000,000円を資本に組み入れ、期末資本金を30,000,000円にした場合
早速ですが、解答です。
(解答1)
欠損填補をしても、過去に資本として払い込まれた金額は変わらないため、「資本金等の額」は140,000,000円のままです。
従って、均等割税額は③の260,000円となります。
(解答2)
資本金に組み入れられた金額は払い込みによるものではないため、「資本金等の額」は8,000,000円のままです。
従って、均等割税額は①の20,000円となります。
余談ですが、経営者の方から「均等割を下げるためには減資をすればよいのか?」という質問を受けることがあります。
そんなときには、次のように回答しています。
A「資本金等の額を減少させるためには株主に資本を払い戻すことが必要になりますので、資金が必要になります。」
B「利益の内部留保がある会社の場合、資本を1億円払い戻しても資本金等の額は1億円減少しません。」
簡単に説明しますと、
(Aについて)
「資本金等の額」は払込資本を意味しますので、資本金を資本準備金に振替えたり、欠損填補により減資をしても変動しません。
具体的には、資本金をその他資本剰余金に振替えた上で、その他資本剰余金を財源とする配当を行うことになります。
その他、自己株式の取得を行うことでも同様の効果を得ることができます。
いずれにしても、原則として株主への払い戻しのための資金が必要になるということです。
(Bについて)
資本剰余金の配当・自己株式の取得により資本の払い戻しを行う場合、一定の比率計算により利益の配当とみなされる金額が発生しますので、払い戻し額の全額が「資本金等の額」の減少とはならないのです。
詳細は税理士にご質問ください。
<平成27年4月29日追記>
平成27年の税制改正により、法人住民税の均等割の基準となる「資本金等の額」に一定の調整がなされる改正がありました。
平成27年4月1日以後開始事業年度からは、上記の取り扱いとは異なりますのでご注意ください。
信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
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