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改正減価償却制度(Ⅲ)

前回の説例の定額法では、毎期の償却額は均等でした。
これに対し、定率法は毎期の償却額が逓減する償却方法です。
具体的には、期首簿価に一定の償却率を乗じて償却額を計算する方法であり、期首簿価は、償却を重ねるごとに小さくなりますので、償却額が徐々に減ってゆくのです。
--取得価額100万円の車両を償却率0.417(耐用年数6年)の定率法で償却する場合--
1年目の減価償却費 417,000円(取得価額1,000,000×0.417)
2年目の減価償却費 243,111円(期首簿価583,000×0.417)
3年目の減価償却費 141,733円(期首簿価339,889×0.417)
4年目の減価償却費  82,631円(期首簿価198,156×0.417)
5年目の減価償却費  48,173円(期首簿価115,525×0.417)
6年目の減価償却費  28,085円(期首簿価67,352×0.417)
となります。
今回の税制改正後も、定率法による減価償却額は基本的に上記算式によって計算されるのですが、以下の二点で従前と異なります。
①償却率の改定
改正後は、耐用年数経過時に取得価額の10%ではなく、残存簿価1円まで償却する必要がありますので、償却率は大幅にアップしています。
上記の説例は、改正後の6年の償却率0.417で計算されています。
改正前の6年の償却率が0.319であったことを考えますと、定額法の場合よりも、償却の大幅な前倒しがなされているといえます。
②保証率・改定取得価額・改定償却率という概念の導入
上記の説例では6年経過後も39,267円の帳簿価額が残っており、同様の計算方法で残存簿価1円まで償却するためには、あと20年ほど要します。
そこで、新たな定率法では、定率法によって計算した償却額が一定額を下回った事業年度から、定額法に切替えることとされました。
この一定額を償却保証額と呼び、取得価額に保証率を乗じた金額となっています。
耐用年数6年の場合、保証率は0.05776ですので、償却保証額は取得価額1,000,000円×0.05776=57,760円となります。
上記説例の5年目の金額は48,173円であり、償却保証額57,760円を下回りますので、5年目より定額法に切替えることになります。
切替後は、切替時の期首簿価を「改定取得価額」とし、それに「改定償却率」を乗じて、減価償却額を計算します。
説例の場合、耐用年数6年の改定償却率は0.500ですので
5年目の減価償却費 57,762円(改定取得価額115,525円×0.500)
6年目の減価償却費 57,762円(改定取得価額115,525円×0.500)
となります。
なお、償却率・改定償却率・保証率は以下の最終ページに記載があります。
http://www.nta.go.jp/category/pamph/houjin/h19/genkaqa.pdf

大阪市中央区の信和綜合会計事務所
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