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特別償却VS特別控除(その2)

それでは、特別償却と特別控除はどちらが有利なのでしょうか?
30%特別償却、7%特別控除のケースの初年度を考えますと、
特別償却の場合、法人税等の実効税率を40%と考えますと、取得価額の12%(30%×40%)の節税効果があります。
これに対し、特別控除の場合、法人地方税の実効税率を20%と考えますと、8.4%(7%×120%)の節税効果となります。
この結果、初年度だけを比べますと、特別償却が有利ということになります。
しかし、特別償却は、本来2年目以降に償却すべき額を、初年度の償却額に上乗せしているだけの制度です。したがって、特別償却を適用してもしなくても、耐用年数経過後の償却累計額は同額となり、長期的な観点からは、節税効果があるとは言えません。
この点、特別控除は、長期的な観点からも、確実に法人税額を減額していますので、節税効果が認められます。
以上のことを踏まえますと、特別償却と特別控除は、状況に応じて使い分けることが良いと思います。
<ケース1>
年度により、利益水準が大幅に変動し、当年度は大幅に利益が生じる見込みの場合(来年度以降、継続的に一定の利益が生じる目処は立っていない場合)
「特別償却」を選択することが多いです。
<ケース2>
毎年一定水準以上の利益を確保しており、来年度以降も安定的な利益計上が見込める場合
「特別控除」を選択することが妥当です。

大阪市中央区の信和綜合会計事務所
http://www.shinwa-ac.net/

特別償却VS特別控除(その1)

特別償却は上乗せ償却の制度ですので、法人所得を圧縮することにより、税率を乗じた節税効果がありました。
これに対し特別控除は、一定の計算により、税額そのものを減額する制度です。
租税特別措置法では、特別償却の認められている場合は、基本的に特別控除も認められており、いずれかを選択適用できることとなっています。(なお、割増償却は除きます。)
例えば、前々回お伝えした使用頻度の高い制度の場合ですと
①中小企業者等が機械等を取得した場合等
 ・取得価額の30%の特別償却
 ・取得価額の7%の特別控除
②事業基盤強化設備を取得した場合等
 ・取得価額の30%の特別償却
 ・取得価額の7%の特別控除
③情報基盤強化設備等を取得した場合等
 ・取得価額の50%の特別償却
 ・取得価額の10%の特別控除
というように、選択適用できるのです。

大阪市中央区の信和綜合会計事務所
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