今回の減価償却制度の改正は、残存価額・償却可能限度額が廃止され、残存簿価1円まで償却できるようになったことに尽きると思います。
それでは、残存価額・償却可能限度額とはどんなものだったのでしょうか?
通常の有形固定資産の場合、残存価額は取得価額の10%、償却可能限度額は取得価額の5%でした。
簡単な説例を挙げます。
--取得価額100万円、耐用年数5年の機械を定額法で償却--
<改正前>:平成19年3月31日以前の取得資産
1年目の減価償却費 18万円
2年目の減価償却費 18万円
3年目の減価償却費 18万円
4年目の減価償却費 18万円
5年目の減価償却費 18万円(この時点で残存価額10万円)
6年目の減価償却費 5万円(この時点で償却可能限度額5万円)
これで減価償却はストップし、売却・廃棄しない限り、5万円が帳簿価額として残ります。
<改正後>:平成19年4月1日以降の取得資産
1年目の減価償却費 20万円
2年目の減価償却費 20万円
3年目の減価償却費 20万円
4年目の減価償却費 20万円
5年目の減価償却費 19万9999円
帳簿には備忘価額として残存簿価1円が残ることになります。
上記の減価償却費の年次推移からも明らかですが、実質的な減価償却の前倒しが図られていますので、事業者にとっては有利な改正ということができます。
また、定率法については特に大きな改正がなされていますので、次回以降で採り上げたいと思います。
なお、国税庁より4月下旬に「減価償却制度の改正に関するQ&A」が公表されています。
http://www.nta.go.jp/category/pamph/houjin/h19/genkaqa.pdf
実務の参考になると思いますが、少しマニアックかもしれません。
大阪市中央区の信和綜合会計事務所
http://www.shinwa-ac.net/