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ゴルフ会員権の売却損(Ⅰ)

ゴルフ会員権の相場は低迷しています。
経営破綻したゴルフ場を除いても、バブル崩壊後の最安値を更新しているゴルフ会員権もあるようです。
バブル期にゴルフ会員権を高値で購入された方の中には、購入したことを後悔されている人も多いかと思います。

近年、よく相談を受けるのが
「ゴルフ会員権を売りたいんだけど、売ったときに出る損は税金で引いてくれないよね?」
という、ほとんど諦め気味の質問です。

結論から言いましょう。
ゴルフ会員権を譲渡したことによる損失は、給与所得や事業所得などと通算することができますので、結果として所得税を少なくすることができます。
例えば、平成元年に預託金300万円、入会金50万円でゴルフ会員権を購入したAさんが、平成20年にゴルフ会員権仲介業者に手数料を10万円支払って、他人に100万円で売却した場合を考えましょう。
平成20年においてAさんに800万円の給与所得がある場合では、ゴルフ会員権の譲渡損失240万円(収入100万円-原価350万円-譲渡費用10万円)と通算し、合計所得は560万円となります。
所得金額が800万円から560万円に減少するということは、当然それに税率を乗じた所得税も減少することになります。

ところで、「生活に通常必要でない資産の譲渡により生じた損失は、給与所得や事業所得などと通算できない。」という所得税法の規定があります。
「生活に通常必要でない資産」には、以下のようなものが該当します。
・競走馬
・別荘
・1個あたり30万円を超える貴金属・書画・骨董など
つまり、これらを売って損失が発生しても、給与所得や事業所得などと通算することができないのです。

ではなぜ、一般的に「生活に通常必要でない」と考えられるゴルフ会員権の譲渡損失が、給与所得や事業所得などと通算できるのでしょうか?
それは、ゴルフ会員権が特殊な資産であることに起因します。
そもそも、ゴルフ会員権は「ゴルフ場を優先的に利用する権利」と「預託金の返還請求権」が複合した権利です。
これに対し、「生活に通常必要でない資産」は所得税法施行令で動産・不動産に限定されていますので、動産でも不動産でもないゴルフ会員権は該当しないことになるのです。

ただ、この取り扱いがいつまでも続くかどうかは微妙です。
毎年、年末の税制改正大綱が出る前には、ゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算ができなくなるのではという噂が出ているからです。
(ゴルフ会員権の売買を活性化させたいゴルフ会員権業者の陰謀かもしれませんが・・・)
とりあえず、今年(平成21年)中のゴルフ会員権の譲渡損失についても通算可能のようです。

最後になりましたが、平成20年中にゴルフ会員権を売却された方は、確定申告の際には充分ご注意ください。


信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)
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