私が小学生だった頃、全国的に「怪ケシ」が流行していました。
「怪ケシ」とは怪獣の消しゴムの略称で、ウルトラマンシリーズのヒーロー(ウルトラマンエースやウルトラセブンなど)と怪獣を消しゴムにしたものでした。
当時は、怪獣の消しゴム同士で相撲をさせて遊ぶ「トントン相撲」が流行っており、一般には怪獣の方に人気がありました。
特に、尻尾のある怪獣(ジラース・エレキングなど)はトントン相撲に強く、すぐに売り切れとなっていたようです。
しかし、私はウルトラマンの方に注目していました。
その中でも、特に以下の3種類を収集することに必死になっていました。
・ウルトラマンキング
・ウルトラの父
・ウルトラの母
これらの収集は単なる趣味ではありません。
これらを欲しがる友達に転売して、小遣いを運用していたのです。
通常、怪獣の消しゴムは業者から駄菓子屋に袋売りされます。
その袋にはウルトラヒーローと怪獣あわせて50体が梱包されているのですが、上記3種類のウルトラマンは一袋に1体ずつしか入っておらず、とても希少なものだったのです。
駄菓子屋では、希少なものかどうかに関係なく1体30円で売られていましたので、店主(F本のおっちゃん)が袋を開けた途端、必ず取り合いになったのです。
取り合いになった場合、自分より上級生には勝つことはできません。
でも、絶対に希少3体は欲しい。
やがて、私は希少3体を確実に手に入れる3つの方法を考えました。
①希少3体を売ってくれそうな人を探し、100円以上で買い上げる。
②駄菓子屋で、袋ごと(50体、1500円)購入する。
③自分が店にいるときに袋を開けてもらうように、F本のおっちゃんにお願いする。
②は今風に言うと「大人買い」です。
当時の小遣いが月1500円でしたので、子供の私にとっては非常に大きな金額でしたがが、これを繰り返すことにより、最も効率のよい③も可能となったのです。
しかし、大人買いした場合には問題があります。
希少3体については1体あたり500円以上で欲しがっている人に転売することができたのですが、その他は30円ではなかなか売れなかったのです。
そこで、残りの47体のうちトントン相撲で使えないものは、1体10円か20円でたたき売りをしていました。
つまり、大人買いした場合には、希少3体の売上だけで仕入金額を上回っていましたので、たたき売りをした金額だけ利益を増やしていたことになります。
なぜ、このような「商売」ができたのでしょうか?
その要因は、以下の2点に集約されると思います。
・売りたがっている人と欲しがっている人の情報を誰よりも早く収集していたこと。
・売上(売値)、仕入(買値)、在庫(希少3種現物)、運転資金(小遣い残高)をなんとなく理解していたこと。
子供でありながら、小遣いを増やすビジネスモデルを確立していたのです。
(Episode 1)
信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)
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