平成4年3月に大学を卒業し、4月から中央新光監査法人に入所し、私の社会人生活がスタートしました。
私が所属していた中央新光監査法人は大阪事務所だけで100人以上の人が働いており、当時は五大監査法人の一つと言われていました。
監査法人というのは、公認会計士が組織で監査をするための法人です。
公認会計士となるためには3年間の実務経験が必要でしたので、当時の公認会計士2次試験の合格者はいずれかの監査法人で監査実務を経験することが多かったようです。
そして、3年後にようやく公認会計士3次試験を受けることができるようなり、それに合格してはじめて公認会計士になれるのです。
まさに医師のインターンのような制度です。
この頃、「会計士補」という資格を付与されていました。
名刺にも記載されていたのですが、自ら半人前ですと言っているような名称が最初は嫌でした。
実際、知識も経験もない半人前以下でしたが。。。
プライドだけは高かったようです。
しかし、入所するとすぐに監査の現場に行くことになり、そのプライドはズタズタにされます。
大学を出たばかりで知識も経験もない会計士補が、経理を何十年もやってきた上場会社の経理部長などに太刀打ちすることなど不可能だったのです。
全く相手にされず、悔しい思いをすることも数多くありました。
また、当時の監査法人は徒弟制度の色濃く残る組織でしたので、「見て学べ、わからないところは訊け」という方針に慣れるのにかなり時間がかかりました。
結局、一人前の会計士になるためには、知識と経験を積み重ねることにより、自分の能力を高めることが必要でした。
そのためには自分で勉強するしかなかったのです。
・監査
・会計
・ディスクロージャー
・商法
・税金
・監査対象会社の業界知識
など、勉強すべきことは山のようにあり、慢性の寝不足状態になっていました。
その中でも、税金については誰にも負けないぐらいに勉強したことを憶えています。
負けず嫌いな私は、法人税だけでなく消費税・所得税・相続税の税理士試験講座を受講するため、毎週土日に通学していました。
先輩の公認会計士の中には法人税には詳しい人はたくさんいたのですが、消費税や資産税のことはほとんど知らない人が多かったからです。
今となっては、税理士試験の受験者に混じって税法の条文を呪文のように覚えたことも良い思い出です。
当時の先輩の中には、「本で読んだ知識など意味がない」という人もいました。
しかし、今の私は「それが間違いである」と反論することができます。
知識のない状態では単なる「体験」であり、次に活かせる「経験」とはならないからです。
「本で読んだ知識だけでは意味がない」というのであれば、納得できますが。。。
もうこの辺りでやめておきましょう。
ところで、監査法人では色々な業務・業種を経験しました。
<業務>
・上場会社等の監査
・資本金5億以上の大会社の監査
・学校法人の監査
・上場準備会社の監査
・任意調査
<業種>
・建設業
・総合商社、専門商社
・運送業
・小売業
・工作機械製造業、電気部品製造業、木材製品製造業
・不動産業
・飲食業
など、多くを経験することができたことに心から感謝しています。
個人的には、諸般の事情があったとはいえ、中央新光監査法人(最終:みすず監査法人)が消滅したことは本当に残念です。
(Episode 7)
信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
http://www.shinwa-ac.net/
税理士をお探しの方がいらっしゃいましたら、信和綜合会計事務所に是非ご紹介ください。