先日、最高裁で税務実務に関係する注目の判決がありました。
今までの実務がひっくり返ったような判決です。
それは、死亡保険金を年金で受け取った場合の課税についての判決でした。
年金払の生命保険については、これまでの実務では、次のように相続税と所得税が課されていました。
①年金を受け取ることが確定したときに、将来の受給権相当額について、相続税課税
②実際に年金を受け取った時に、所得税課税(毎年)
もう少し、具体的に説明しましょう。
夫の死亡により、妻は毎年230万円ずつ10年間にわたって年金を受け取ることになったとします。この場合、従来の実務では、課税は以下のようになっていました。
①総額2300万円の6割を受給権相当額とみなして、1380万円について相続税課税
②毎年、年金を受け取るときに、230万円から掛け金相当額を控除して、所得税課税
今回の最高裁の判決では、年金払の生命保険について、相続税と所得税を課税することは二重課税に該当すると判断されました。
上記判例では、②の毎年の230万円のうち相続税を課税された6割相当額について所得税を課税することは、「国の間違い」であったとされたのです。
つまり、このような年金を受け取っている人は、毎年、所得税を払い過ぎていたということになります。
この結果、該当する年金保険を受け取っている方は、「更正の請求」という手続で、払い過ぎになっている所得税を還付してもらうことになります。
請求しなければ還付されないというのは何だか理不尽ですが、制度上は致し方ないのかもしれません。
ところで、財務大臣は、5年以内分に限定せず過年度分も還付すると言っています。
しかし、何十年も前の記録が納税者側ですべて残っているとは到底思えません。
保険会社からの情報提供に期待するしかないと思いますが、保険会社にとっては巨大な事務負担になるかもしれません。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h22/9291/index.htm
信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
http://www.shinwa-ac.net/
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