あまり報道されていませんが、平成24年税制改正法案が3月30日に成立しています。
特に影響の大きい改正は少なく、税理士業界でもあまり話題になることはありません。
なぜなら、相続税や消費税の増税は「社会保障と税の一体改革」で議論されており、この法案には含まれていないからです。
そんな小振りの改正ですが、その中でも比較的影響のある項目をいくつか列挙します。
1.給与所得控除の上限設定
所得税が課される給与所得は給与収入から「給与所得控除」を差し引いて計算されます。
この給与所得控除は給与が増加すればするほど増え続ける仕組みでしたが、245万円の上限が設けられました。
その結果、給与収入が1500万円を超える人にとっては増税となります。
この改正は平成25年分の所得税から適用されます(住民税は平成26年分から)。
2.役員等の退職金課税
退職金に対する課税は、退職金から退職所得控除を控除した残額の1/2に税率を乗じて計算されることになっています。
今回の改正では、勤続年数が5年以下の「役員等」に対する退職金については、退職金から退職所得控除を控除した残額に税率を直接乗じて計算されることになりました。
つまり、残額を1/2しないということです。
対象となる「役員等」は以下の通りです。
・法人税法第2条第15号に規定する役員
・国会議員及び地方議会議員
・国家公務員及び地方公務員
公務員が含まれているのは、天下り後に「渡り」を繰り返す者に対する戒めのつもりなのでしょうか?
なお、この改正は平成25年1月1日以後に支払われる退職金より適用されます。
3.国外財産調書制度の創設
12月31日時点において国外に5千万円を超える財産を所有する人は、翌年3月15日までに、その財産の内容や金額を「国外財産調書」に記載して税務署長に提出する制度が創設されました。
この制度は平成25年12月31日時点の国外財産が5千万円を超える場合から適用が開始されます。
なお、この調書に記載がある場合とない場合では、その後の相続税等の申告において申告漏れがあったときの加算税に大きな差がつけられています。
詳細は別の機会とします。
信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
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