平成25年度の税制改正により、直系尊属からの教育資金の一括贈与の非課税枠1500万円が創設されました。
若い世代に資産を移転し、育児世代の負担を軽減することにより消費を活性化させることを目的とした制度のようですが、どれくらいの人がこの制度を利用するのでしょうか?
老後の資金がどのくらい必要なのかわからない状態では、まとまった金額の贈与ができる人は少数に限られるのかもしれません。
とはいえ、相続対策上は有利な制度ですので、資金に余裕がある方は利用を検討すべきかと思います。
制度の詳細については、文部科学省のサイトが参考になると思います。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/05/10/1332772_01_1.pdf
今回は誤解されやすい部分を中心にいくつかの留意点を採り上げることにします。
<直系尊属からの贈与>
祖父母からの贈与と誤解されがちですが、直系尊属からの贈与ですので、両親からの贈与でも、曽祖父母からの贈与でもかまいません。
また、養父母からの贈与も対象となります。
<受贈者ごとに1500万円まで>
教育資金をもらう人(受贈者)ごとに1500万円の非課税枠が設定されます。
例えば、祖母から1500万円、父から1500万円、合わせて3000万円の非課税枠ではありません。
<資金の管理>
所定の金融機関が受贈者名義で資金の管理を行います。
受贈者は資金の管理先である金融機関を通じて非課税申告書を提出します。
資金の引き出しをしたいときは、その金融機関に教育費用であることが確認できる領収証等を提出することが必要となります。
<資金の残額>
受贈者が30歳になった時点で資金に残額がある場合には、その時点で贈与があったものとして贈与税が課されることになっています。
相続対策をしたつもりなのに、多額の贈与税を払うことになっては本末転倒です。
受贈者ごとに教育資金として必要な額を事前に見積もって贈与することが重要かと思います。
<教育資金の範囲>
学校等に対して支払われる入学金・授業料・入学検定料・学用品費・修学旅行費・給食費などは対象となります。
学校等以外に対して支払われる費用、例えば、学習塾、家庭教師、スイミングスクール、野球チームでの指導、ピアノの個人指導、バレエ教室、習字、茶道の費用についても、総額で500万円を限度として対象となります。
<相続時精算課税制度との併用>
この制度は相続時精算課税制度との併用が可能です。
また、この制度の非課税枠1500万円は、暦年贈与の非課税枠110万円とは別枠です。
<相続税との関係>
相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に含めることになっていますが、この制度により贈与した教育資金は相続財産には含めません。
<適用時期>
平成25年4月1日から平成27年12月31日までの贈与に限られます。
この制度は景気対策としての意味もあることから、期限の延長はなされない可能性が高いと思います。