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家賃の経過措置

先日、お客様から質問がありました。
M様:「家賃の消費税のことなんですが」
原:「どうされましたか?」
M様:「昨年の9月頃に、経過措置の適用のための対策をしましたよね」
原:「そうでしたね」
M様:「それがT協会の研修会で、契約に解約の申し入れができる旨の定めがあると、経過措置の適用がないと聞いたのですが?」
原:「それは正しくありません。・・・続く」

以前に、家賃の消費税の経過措置について採り上げたことがありました。
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/399.html
この辺りは誤解の多い部分ですので、再度採り上げたいと思います。

<原則>
平成26年4月分より、住宅以外の家賃については8%の消費税率が適用されます。
家賃は契約で前払となっている場合が多く、平成26年4月分の家賃を平成26年3月に支払うことになっているときは、平成26年3月支払分より8%の消費税率が適用されます。
住宅家賃については従来通り、非課税ですので消費税は課されません。

<経過措置>
平成25年9月30日までに賃貸借契約を締結し、平成26年3月31日以前より継続して平成26年4月1日以降も賃貸借を行っている場合で、契約の内容が次の「①及び②」または「①及び③」の要件を満たしているときは、その契約期間に限り、旧税率5%が適用されます。
(ただし、契約の自動更新や契約対価の変更がなされた場合は、それ以後の期間については旧税率5%の適用はできません。)
①当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
②事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
③契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契約において定められていること。

要するに、経過措置が適用されるのは、
「①及び②」を満たす場合か、
「①及び③」を満たす場合ということになります。

今回の誤解の原因となった③の要件は、俗に
「解約不能」と「フルペイアウト」といわれる要件です。
契約期間は解約できず、その期間中に支払う賃料の総額がその物件の購入金額の90%を超える契約でないと要件を満たさないことになりますので、通常の不動産賃貸借契約は該当しません。

従って、通常の不動産賃貸借契約の場合は、「①及び②」を満たすかどうかを検討すればよいことになります。
ただし、一般的な不動産賃貸契約書には、「賃料が物価の変動、公租公課の増減、近隣物件の賃料の変動、その他経済情勢の変動によって著しく不相応となったときには、協議の上、賃料を改定することができる」という内容の記載があることが多く、契約書にそのような記載がある場合には、②の要件を満たさないことになります。

消費税の経過措置適用を受ける不動産賃貸借契約は意外に少ないのではないかと思います。

税理士法人信和綜合会計事務所(大阪市中央区)
http://www.shinwa-ac.net/