民法では、「物の貸し借り」に関する契約は3種類あります。
「使用貸借」と「賃貸借」と「消費貸借」です。
会計や税金の実務に携わっていると当たり前のように使われる用語ですが、一般にはあまり馴染みがないかもしれません。
今回は、これら3つの契約について紹介します。
1.使用貸借契約
第593条「使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。 」
要約すると、タダで物を貸し借りする契約です。
例えば、次のような契約が該当します。
・親が所有する別宅に無償で長男家族を住まわせる。
・コンビニに買い物に行く友達にちょっと自転車を貸した。
ちなみに、使用貸借契約の場合、修繕費などの維持管理費用は借り手が負担することになっています。
2.賃貸借契約
第601条「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
要約すると、お金のやりとりを伴って物を貸し借りする契約です。
例えば、次のような契約が該当します。
・単身赴任のため、赴任先で部屋を借りる。
・レンタカーを借りる。
賃貸借契約の場合は、賃料の授受があることから、修繕費などの維持管理費用は貸し手が負担することになっています。
3.消費貸借契約
第587条「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」
要約すると、同じ種類・品質・数量の物で返すことを条件に物を貸し借りする契約です。
借りたものをいったん消費することから「消費貸借」と呼ばれており、お金の貸し借りである「金銭消費貸借契約」が代表例です。
それ以外ではほとんど聞いたことがありませんが、大昔の監査法人在籍中に、アルミ(非鉄金属)の消費貸借契約なるものを検討したことがあるくらいです。