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婚外子の相続分(Ⅱ)

先日のコラムでも書きましたが、最高裁判所は平成25年9月4日に、婚外子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の相続分の半分とする民法の規定を違憲と判断しました。
↓以前の記事はこちら↓
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/398.html

この決定を受けて、国税庁は相続税額の計算に関する取扱いを変更することを先週になってから公表しています。
これまでは民法の規定に基づき、婚外子の相続分は嫡出子の半分として相続税額の計算を行っていましたが、今後は婚外子と嫡出子の相続分は同じものとして相続税額の計算を行うことになります。

この変更は、平成25年9月5日以後の申告(期限内申告・期限後申告・修正申告を含む)または処分(更正・決定)について適用されます。
なお、平成25年9月4日以前に申告・処分により相続税額が確定している場合には、今回の変更された取扱いは適用されません。

つまり、平成25年9月4日以前の申告・処分により、現行の民法規定に従って婚外子の相続分を嫡出子の半分として相続税額を計算したことは誤りではないため、それだけでは「更正の請求」(過大税額の減額請求)をすることはできないということになります。

↓国税庁の公表文↓
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h25/saikosai_20130904/index.htm


税理士法人信和綜合会計事務所(大阪市中央区)
http://www.shinwa-ac.net/

婚外子の相続分

民法900条4号ただし書には以下の文言があります。
「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、」

相続分とは遺産の取り分という意味です。
現行の民法では、上記の規定により、「法律的に結婚した男女間の子」と「結婚していない男女間の子(例えば愛人の子)」では、相続分は2:1とされてきました。

(設例)
夫が死去(遺産は6000万円)
相続人:妻、長男、次男、愛人の子

(現行の民法規定による相続分)
妻:3000万円(1/2)
長男:1200万円(1/5)
次男:1200万円(1/5)
愛人の子:600万円(1/10)

しかし、先日、最高裁判所はこの規定が憲法違反であり無効であるとする判断を下しました。
つまり、「法律的に結婚した男女間の子」と「愛人の子」の相続分は同じとすべきとの判断が下されたのです。
今回の判断は過去に決着済みの相続には適用されないようですが、政府は上記規定を削除する方向で民法の改正を行うそうです。

(民法改正後の相続分)
妻:3000万円(1/2)
長男:1000万円(1/6)
次男:1000万円(1/6)
愛人の子:1000万円(1/6)

ちなみに、この判断については国連などから格差是正を勧告されてきたことも一因かと思いますが、私は強い違和感を感じます。
晩婚化・少子化により人口減少が切実な問題となっているのに、どうして結婚制度の崩壊につながりかねない判断を下すのか?
聞くところによると、参加した14人の裁判官が全員賛成したそうですが、私は理解に苦しみます。

残念ながら、民法の改正はほぼ確実ですので、相続対策の練り直しが必要な方は早急に対応した方がよいと思います。


税理士法人信和綜合会計事務所(大阪市中央区)
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基礎控除の縮小

お陰様で最近は常時数件の相続税案件に関わっています。
先日も納税者の方にご押印いただき、明日相続税の申告書を提出する予定ですが、最近思うことがあります。

不謹慎ではありますが、あえて書くことにします。
「もし平成27年以降に亡くなられていた場合は、どのくらい税額が増えたのだろうか?」

御承知のとおり、平成25年度の税制改正において、平成27年1月1日以後の相続開始(死去)分より相続税の基礎控除額が現行の6割に縮小されています。
<相続税の基礎控除額>
現行:5000万円+1000万円×法定相続人の数
改正後:3000万円+600万円×法定相続人の数

簡単な例を挙げます
甲の配偶者は既に他界され、子供が2人(乙・丙)の場合を考えます。
現行の基礎控除額:5000万円+1000万円×2人=7000万円
改正後の基礎控除額:3000万円+600万円×2人=4200万円

仮に甲の遺産が7000万円だった場合の相続税額は以下のとおりとなります。
現行の相続税額:遺産が基礎控除額7000万円以内のため0円
改正後の相続税額:乙・丙あわせて320万円

配偶者が健在の場合は、一定の遺産額まで配偶者の税額軽減が適用されますので、これほどの差は発生しないことが多いと思いますが、設例のように配偶者がすでに他界されている場合は、亡くなられる時期により大きな影響が発生することになります。

信和綜合会計事務所では、相続税の申告だけでなく、相続発生前の事前対策にも力を入れています。
将来の相続が心配な方は是非ご相談ください。


税理士法人信和綜合会計事務所(大阪市中央区)
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教育資金の一括贈与(Ⅲ)

すでに何度も紹介していますが、「教育資金の一括贈与にかかる非課税措置」が施行されています。

この制度により贈与を受けた資金の引き出しには、指定金融機関に「領収書等」を持参する必要があるのですが、この「領収書等」がこれまで明確にされていませんでした。
「領収書」には何が記載されていないといけないのか?
「領収書」でないといけないのか?(口座振替の場合は?)

この問題に関しては、先日、文部科学省によるQ&Aの大幅追加で明らかとなりました。
以下はQ&Aで明らかとなった項目です。

<領収書等に記載されているべき事項>
支払日付、金額、摘要(支払内容)、支払者(宛名)、支払先の氏名(名称)及び住所(所在地)です。
塾や習い事などの費用については、何に使用したのか(○月分○○料として、○回又は○時間分)についても記載されていることが必要です。

<領収書等に必要事項が記載されていない場合>
原則として領収書等の発行者(支払先)が修正・追記した上で発行者(支払先)の押印が必要です。
実務上は、記載要件を満たした領収書等を再発行してもらうことになると思います。
ただし、学校等に対する支払の場合で、摘要(支払内容)及び支払先の住所(所在地)の記載漏れがあった場合に限り、領収書に摘要(支払内容)及び支払い先の住所(所在地)を受贈者自身が記載し、受贈者の署名押印をすることにより、自分で追加補筆することが可能となっています。

<銀行振込・口座振替の場合の領収証等とは>
領収書のほか、支払日付、金額、摘要(支払内容)、支払者(宛名)、支払先の氏名(名称)及び住所(所在地)が分かるものであれば、領収書の代わりとして認められます。
例えば、銀行振込・口座振替の場合は、請求書等により「金額・摘要(支払内容)・支払者(宛名)・支払先の氏名(名称)及び住所(所在地)」を明らかにし、支払日付を含む支払の事実については、振込依頼書や引落が確認できる通帳のコピーを持参することにより、領収書の代用とすることができます。
なお、インターネットバンキングなどで振り込まれる場合は、振込完了画面を印刷して持参すればよいそうです。

このほか、非課税となる教育資金の具体的な項目についても例示されています。
興味のある方はご確認ください。
↓アドレスが変更になっています↓
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/05/10/1332772_01_1.pdf

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教育資金の一括贈与(Ⅱ)

以前のコラムでも紹介しましたが、平成25年度税制改正により、「直系尊属からの教育資金の一括贈与の非課税措置」が施行されています。
↓以前の記事↓
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/375.html

そのコラムの中では、受贈者が30歳になった時点で口座に残高がある場合には、その時点で贈与があったものとして贈与税が課されると簡潔に記載しました。
しかし、厳密には受贈者が30歳になる前でも贈与税が課される場合があります。

具体的には次のすべてを満たす場合です。
・受贈者が30歳になる前に口座の残高がゼロになった場合
・教育資金口座に係る契約を終了させる合意があった場合
・教育資金以外の目的で口座から引き出した場合、または、金融機関に領収書等を提出しなかった場合

なお、受贈者が30歳になる前に死亡した場合にも教育資金口座に係る契約が終了しますが、贈与税は課されないことになっています。

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教育資金の一括贈与

平成25年度の税制改正により、直系尊属からの教育資金の一括贈与の非課税枠1500万円が創設されました。
若い世代に資産を移転し、育児世代の負担を軽減することにより消費を活性化させることを目的とした制度のようですが、どれくらいの人がこの制度を利用するのでしょうか?
老後の資金がどのくらい必要なのかわからない状態では、まとまった金額の贈与ができる人は少数に限られるのかもしれません。

とはいえ、相続対策上は有利な制度ですので、資金に余裕がある方は利用を検討すべきかと思います。
制度の詳細については、文部科学省のサイトが参考になると思います。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/05/10/1332772_01_1.pdf

今回は誤解されやすい部分を中心にいくつかの留意点を採り上げることにします。

<直系尊属からの贈与>
祖父母からの贈与と誤解されがちですが、直系尊属からの贈与ですので、両親からの贈与でも、曽祖父母からの贈与でもかまいません。
また、養父母からの贈与も対象となります。

<受贈者ごとに1500万円まで>
教育資金をもらう人(受贈者)ごとに1500万円の非課税枠が設定されます。
例えば、祖母から1500万円、父から1500万円、合わせて3000万円の非課税枠ではありません。

<資金の管理>
所定の金融機関が受贈者名義で資金の管理を行います。
受贈者は資金の管理先である金融機関を通じて非課税申告書を提出します。
資金の引き出しをしたいときは、その金融機関に教育費用であることが確認できる領収証等を提出することが必要となります。

<資金の残額>
受贈者が30歳になった時点で資金に残額がある場合には、その時点で贈与があったものとして贈与税が課されることになっています。
相続対策をしたつもりなのに、多額の贈与税を払うことになっては本末転倒です。
受贈者ごとに教育資金として必要な額を事前に見積もって贈与することが重要かと思います。

<教育資金の範囲>
学校等に対して支払われる入学金・授業料・入学検定料・学用品費・修学旅行費・給食費などは対象となります。
学校等以外に対して支払われる費用、例えば、学習塾、家庭教師、スイミングスクール、野球チームでの指導、ピアノの個人指導、バレエ教室、習字、茶道の費用についても、総額で500万円を限度として対象となります。

<相続時精算課税制度との併用>
この制度は相続時精算課税制度との併用が可能です。
また、この制度の非課税枠1500万円は、暦年贈与の非課税枠110万円とは別枠です。

<相続税との関係>
相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に含めることになっていますが、この制度により贈与した教育資金は相続財産には含めません。

<適用時期>
平成25年4月1日から平成27年12月31日までの贈与に限られます。
この制度は景気対策としての意味もあることから、期限の延長はなされない可能性が高いと思います。

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相続税の申告期限

先週の土曜日に仕事で京都に行ってきました。
数か月前から関わっている相続案件の仕事だったのですが、ようやく一区切りをつけることができました。

当日は相続人全員が集まり、弁護士を交えて遺産分割についての協議も行われました。
どうなるかと心配しておりましたが、事前の意見交換や弁護士による話し合いなどにより、無事に遺産分割協議が成立しました。

弁護士による遺産分割協議書の作成の後、私が相続税額の説明を行いました。
事前に様々な遺産分割案ごとに相続税額のシミュレーションを行っていましたので、納税額の説明もスムーズに終了し、申告書への押印も同時に頂くことができました。
あとは、申告書の提出と納税を残すだけです。

私が心配していたのは、実は相続税の申告と納税の期日が迫っていたからです。
相続税の申告は、亡くなってから10か月以内に申告・納税をする必要があります。
もし、それまでに遺産分割ができない場合は、有利な制度(小規模宅地の特例・配偶者の税額軽減)が適用できない状態で申告しなければならないのです。
つまり、10か月以内に分割できなかった場合は、分割ができた場合と比べて、相続税額が大きくなるのです。
(ただし、一定の書類を期限内申告書に添付することにより、申告期限から3年以内に遺産分割が成立したときには、払い過ぎとなっている税額を取り戻すことができます。)

ところで、京都で今まで気付かなかったことが一つ。
「大阪ではエスカレーターの左側を開けるが、東京や名古屋では右側を空ける。」
これは常識です。
京都は大阪に近いので、大阪と同じように左側を空けるものだと今まで思い込んでいましたが、京都の出町柳では、なんとエスカレーターの右側が空いていました。
確か滋賀県の近江八幡でも右側が空いていたように記憶していますので、京都あたりが境目になっているのかもしれません。

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相続税改正の行方

例年ですと年末に翌年の税制改正の大筋をまとめた「税制改正大綱」が公表されるのですが、今年はいまだに公表されていません。
これは昨年末に民主党から自民党への政権交代があったことが原因ですが、1月中には公表されるようです。

話題になっている改正項目もいくつかあります。
・孫への教育資金の贈与についての贈与税の取扱い
・消費税増税に向けての低所得者対策
・所得税の最高税率の引き上げ

これらの項目にも関心はありますが、やはり税理士としては「相続税」がどのように変わるのかについて、最も注目しています。
報道によると
・最高税率を50%から55%に引き上げる?
・財務省や民主党が予定していた基礎控除の縮小については、縮小幅を小さくする?縮小しない?
と様々な議論がなされているようです。

自民党も以前は「基礎控除の縮小」については賛成していたように記憶していますので、少し予想外の展開です。
いずれにしても、財務省の言いなりであった民主党を反面教師として、よく議論をして決定してもらいたいものです。

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地番と住居表示

日本では、「地番」と「住居表示」という異なる住所の表示方法があります。
地番が不動産登記上の土地の所在地である対し、住居表示は建物ごとに市町村などが定めた表記を意味します。
従って、建物のない土地には住居表示はありません。

<地番の例>
甲町一丁目234番地
<住居表示の例>
乙町五丁目6番7号

上記のとおり、住居表示のほうが簡単で分かりやすいことから、行政の効率化を目的として、市町村による住居表示の設定が普及してきたようです。
現在では、郊外の市町村など、地番が住居表示となっているところも残っていますが、都市部では、地番とは別に住居表示を設定しているところが多いようです。
(税理士としては、相続や株価鑑定で土地の所在地を確認する場面が多いため、「地番」と「住居表示」の相違は頭の痛い問題ですが。。。)

ところで、先日、初めて訪問する会社が駅から遠いため、タクシーで行くことになりました。
駅に到着すると、早速タクシーに乗り込み、住所を告げました。
しばらくして、お客様から電話が鳴り、しばらく話しているうちにタクシーが停車しました。
「お客様、この辺りだと思います。」

電話を切り上げ、料金を払って下車したものの、今どこにいるのかが分からず困りました。
もちろん事前に住居表示データから地図を印刷しておいたのですが、周りを見ていなかったため全く役に立ちません。
しかし、同行していた他士業の方が目の前のビルの住居表示を見て一言。
「ここが3番2号なので、3番8号は時計回りに何件か先ですよ。」と

知りませんでした。
住居表示の号が時計回りに付番されていることを。
これからは、○丁目○番までたどり着けば、迷わず目的地に到達できそうです。


信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
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税理士をお探しの方がいらっしゃいましたら、信和綜合会計事務所に是非ご紹介ください。

平成24年分の路線価の公表

7月2日に平成24年分の路線価が公表されました。
http://www.rosenka.nta.go.jp/

(過去の路線価に関する記事)↓
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/75.html
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/125.html
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/178.html
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/230.html
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/282.html

路線価とは相続税や贈与税の課税価格を計算するときの基準価額ですが、前年と比べて全国平均で2.8%下落したようです。
下落幅は平成22年以降は縮小しており、都市部を中心にようやく下げ止まりの兆候が見えます。
とはいえ、上昇に転じた地区はまだまだ少ないのが実情です。

大阪では、大型の開発プロジェクトが進行している「梅田北ヤード」や「阿倍野地区」の路線価が上昇しています。
逆に言えば、それ以外の地点は上昇していないということなのです。

地価は景気のバロメーターとも言われています。
一刻も早く、「活気のある元気な大阪」に戻ってくれることを願います。


信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
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