資金収支/税理士法人信和綜合会計事務所

 目から鱗シリーズ卸売業 > 資金収支の状況
               

            

V 目から鱗の決算書(チェックポイント編)


1.資金収支の状況

 @支払サイト

   支払サイトとは、取引代金の締め日から実際に資金化するまでの期間をいいます。
   当社の場合ですと、得意先乙社と丙社で、それぞれ異なる支払サイトとなっています。

   乙社の場合は、月末締めで翌月15日に振込入金ですので、支払サイトは15日です。
   それに対して、丙社の場合は、月末締めで翌月10日に期間100日の手形を回収することと
   なっていますので、支払サイトは110日です。

   この支払サイトの長短は、期日に手形が決済されるなど確実に資金化されるのであれば、
   損益には影響しません。

   しかし、資金収支には大きな影響を及ぼします。
   例えば、乙社の場合、6月の販売代金が7月15日に振込入金されますので、仕入代金の支
   払日の7月20日には、その資金を充当することができます。
   それに対し、丙社の場合、6月の販売代金は7月10日に手形で回収した後、100日後の10月
   20日が期日となりますので、支払代金に充当できるのは11月20日の支払日からとなります。
   (手形の決済は手形交換所を経由して行われますので、実際の資金化には更に数日を要
   し、10月20日の仕入代金の支払に充当することができないからです。)

   従って、手形が資金化されるまでの間は、仕入代金(買掛金)の支払などが先行すること
   になりますので、手元の運転資金は減少することになります。
  



 A第2四半期(4月〜6月)の状況

   第2四半期末(6月末)の現金預金は、第1四半期末(3月末)と比べて、2,400円減少し
   ています。
   6月には、丙社との取引が開始されていますが、いまだ代金の回収には至っていま
   せんので、第2四半期の収入は、乙社に対する売掛金の振込入金14,400円しかあり
   ません。
   それに対して、支出は、甲社に対する買掛金の支払15,000円・人件費の支払1,500円・
   地代家賃の支払300円の合計16,800円となり、収入を上回っています。
   その結果、資金収支は△2,400円となったのです。


 B第3四半期(7月〜9月)の状況

   前述のとおり、丙社との取引は6月に開始しており、売掛金の手形による回収も進んで
   います。
   しかし、一番早く決済される手形でも期日が10月20日となっていますので、第3四半期
   においても、収入は、乙社に対する売掛金の振込入金14,400円しかありません。
   これに対して、支出にも第2四半期から変動がなければ、資金収支が△2,400円となり、
   運転資金が少なくなり過ぎます。
   そこで、当社は銀行からの資金を借入れることにより、運転資金を確保しています。


 C第4四半期(10月〜12月)の状況

   予定されていた丙社手形の決済が10月20日の一回しか行われず、その他の丙社に
   対する売上債権はすべて貸し倒れたため、資金収支が大幅にマイナスとなっています。
   早急に借入等の資金調達を行い、運転資金を確保することが必要な状態となっています。







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