経営>税金 |
2006/11/27(Mon)
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前回までに説明してきましたが、合理的に持株比率を変動させることができれば、特殊支配同族会社から外すことは不可能ではありません。 その結果、当然のことですが、持分変動により外部株主が入ってくることになります。 しばらくの間、その外部株主が健在で会社との関係が良好な間は問題がないかもしれません。 しかし、外部株主が自然人の場合は寿命があるため、相続により株主が代わる事がありますし、法人の場合でも、代表取締役の交替により会社との関係が変化する場合があります。 また、外部株主が破産した場合には、その所有する株式も競売にかけられることになり、会社の望まない第三者が株主となる可能性があるのです。 株式に譲渡制限が付されている場合でも、買い取る場合は、その時点における財務内容等を反映した価額(時価)で行うことになりますので、必要資金も場合によっては巨額になるでしょう。 特に、経営者の親族間で株式の分散が進んでいるような会社の場合が問題となります。 持株比率の状況次第ですが、親族間でトラブルがあったときには、その外部株主がキャスティングボードを握り、経営権が揺らぐことも十分に考えられます。 税金対策ができたとしても、経営権が揺らいでしまっては、本末転倒です。 そういう意味で、「慎重に」と前回のコラムに書いたのです。 私の本音を言いますと、特殊支配同族会社の増税規定は愚かな法律だと思っています。 国会議員の皆さんが、議員立法で、この規定の適用を停止してくれることを願っています。 |
特殊支配同族会社外しは可能か? |
2006/11/20(Mon)
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特殊支配同族会社に該当するか否かは、事業年度末の状況により判定されることになっています。 実際問題として、現状のままでは特殊支配同族会社に該当する見込みの会社について、役員基準・株式基準のいずれかを満たさないように操作することにより、増税対象から外すことは可能なのでしょうか? 1.役員基準 親族以外の役員の数だけを増やしたとしても、その役員が経営に常時参画しているという実態がなければ意味はありません。 すでに経営に参画していたが役員に就任していなかった人がいるなど、非常にレアな場合を除いて、役員基準による特殊支配同族会社外しは、ほぼ不可能だと思われます。 2.株式基準 業務主宰役員グループの持株比率を90%未満にするためには、形式的に外部に名義を借りるのではなく、実際に持株の第三者への移転(譲渡又は贈与)を行うか、第三者に増資を引受けてもらうことなどが必要だと考えられます。 @譲渡の場合 売却価額と取得価額との差額は譲渡所得となり、所得税が課税されます。 A贈与の場合 贈与した資産価額が110万円を超えると、贈与税が課税されます。 B増資の場合 税額は発生しませんが、譲渡の場合より大きな資金が必要となります。また、資本金等が増加することになるため、次年度以降において、法人地方税の均等割額などが増加します。 @ABのいずれの場合も、一株あたりの株価を考えなくてはなりませんし、株式を分散することのリスクも考えておかねばなりません。具体的には、会社が望まない者が将来的に株主になる可能性が生じてくるのです。会社が今後も成長していけば、将来的にそれらの者から、今回と同額で買い戻すことはできないものと考えておくべきです。 また、その人(又は法人)に、株主になってもらう合理的な理由が必要かと思います。例えば、業務提携を前提とした株式の譲渡などです。 単に、増税対象から外すためというのでは、完全に租税回避行為になってしまい、税務否認される危険性があるのです。 持株比率を変動させる場合には、慎重に行ってください。 |
学校は社会の縮図 |
2006/11/13(Mon)
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いじめが問題になっています。 結局、誰が悪いのでしょうか? いじめる子 いじめられる子 その他の生徒 学校 保護者 地域の住民 私にはよく分かりません。 ただひとつ言えることは、学校に限らず、大人の社会でもいじめはあるということです。 残念なことに、責任を感じられた校長先生が自ら命を絶たれています。 個別の事情を十分に調査もせず、つまり、正当な理由もなく周囲に流されて、他人を批判し追い詰めるのは、全く「いじめ」です。 今日の朝のテレビで、「何が校長を追い詰めたのでしょうか?」と言っているレポーターがいましたが、そんな連中に「どうしたらいじめがなくなるのか?」を語る資格はありません。 学校も社会の中の小さな社会であり、社会の縮図とも言えます。 社会からいじめが無くならない限り、学校でのいじめも無くならないかも知れません。 その意味で、責任は、われわれ日本人全体にあるとも言えるのです。 |
特殊支配同族会社に対する増税の除外規定 |
2006/11/13(Mon)
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特殊支配同族会社に対する増税について前々回までに概要をお伝えしてきましたが、今回は、その除外規定について解説します。 まず、基準所得金額についての説明が必要です。 基準所得金額は、その会社の所得金額(過去3期分)に業務主宰役員給与(過去3期分)を加算した金額を、1年分に平均した金額をいいます。 留意点としては、加算される業務主宰役員給与は、業務主宰役員一人の役員給与だけで、業務主宰役員関連者に対する給与等は含まれないことが挙げられます。(また、欠損金がある場合などは、計算が複雑になりますので、今回は省略します。) この基準所得金額が少額である場合には、今回の増税が適用されないことになっているのです。 具体的には、 @基準所得金額が800万円以下のとき 適用されません。 A基準所得金額が800万円を超え、3,000万円以下のとき 業務主宰役員給与(過去3期分平均)が基準所得金額の半分以下であれば、適用されません。 |
あっという間の15年 |
2006/11/06(Mon)
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11月になりました。 先月、またひとつ年をとりました。 早いもので、平成3年10月に公認会計士2次試験に合格してから丸15年が経過したことになります。 最初の4年間は、中央新光監査法人(現みすず監査法人)に勤務していたのですが、当時の10年以上のキャリアを持つ先輩会計士というと、すごい人たちが多かったように記憶しています。 現在も、当時よりお付き合いのある先生がいらっしゃいますが、 なかなか追いつくことはできません。 私が進歩していたとしても、その先生も進歩しているからです。 進歩には、学ぶことが必要だと思います。 「学ぶ」ことには本で勉強するということだけではなく、「調べる・考える・経験する」ことなどを含みます。 これは、会計・税務に携わる仕事をしているか否かに関わりません。 また、経営者であるか従業員であるかにも関係ありません。 社会に必要とされ続けるためには、学ぶことが必要なのです。 最後に、私の座右の銘です。 「学ぶことで才能は開花する。」 by諸葛亮 |