ゆく年くる年 |
2006/12/29(Fri)
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今年も最後の平日となりました。 一年間を振り返りますと、様々なことがありました。 私個人にとりましても、素晴らしい人達との出会いもありましたし、年末には悲しい別れもありました。 このような「出会い」と「別れ」を繰り返していくことが、生きている証なのかもしれません。 これからも、人に裏切られても自分は人を裏切らず、誠実な姿勢をもって生きてゆきたいと思っています。 来年が皆様にとりまして、幸多い年になりますように。 |
特別償却VS特別控除(その2) |
2006/12/25(Mon)
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それでは、特別償却と特別控除はどちらが有利なのでしょうか? 30%特別償却、7%特別控除のケースの初年度を考えますと、 特別償却の場合、法人税等の実効税率を40%と考えますと、取得価額の12%(30%×40%)の節税効果があります。 これに対し、特別控除の場合、法人地方税の実効税率を20%と考えますと、8.4%(7%×120%)の節税効果となります。 この結果、初年度だけを比べますと、特別償却が有利ということになります。 しかし、特別償却は、本来2年目以降に償却すべき額を、初年度の償却額に上乗せしているだけの制度です。したがって、特別償却を適用してもしなくても、耐用年数経過後の償却累計額は同額となり、長期的な観点からは、節税効果があるとは言えません。 この点、特別控除は、長期的な観点からも、確実に法人税額を減額していますので、節税効果が認められます。 以上のことを踏まえますと、特別償却と特別控除は、状況に応じて使い分けることが良いと思います。 <ケース1> 年度により、利益水準が大幅に変動し、当年度は大幅に利益が生じる見込みの場合(来年度以降、継続的に一定の利益が生じる目処は立っていない場合) 「特別償却」を選択することが多いです。 <ケース2> 毎年一定水準以上の利益を確保しており、来年度以降も安定的な利益計上が見込める場合 「特別控除」を選択することが妥当です。 |
特別償却VS特別控除(その1) |
2006/12/25(Mon)
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特別償却は上乗せ償却の制度ですので、法人所得を圧縮することにより、税率を乗じた節税効果がありました。 これに対し特別控除は、一定の計算により、税額そのものを減額する制度です。 租税特別措置法では、特別償却の認められている場合は、基本的に特別控除も認められており、いずれかを選択適用できることとなっています。(なお、割増償却は除きます。) 例えば、前々回お伝えした使用頻度の高い制度の場合ですと @中小企業者等が機械等を取得した場合等 ・取得価額の30%の特別償却 ・取得価額の7%の特別控除 A事業基盤強化設備を取得した場合等 ・取得価額の30%の特別償却 ・取得価額の7%の特別控除 B情報基盤強化設備等を取得した場合等 ・取得価額の50%の特別償却 ・取得価額の10%の特別控除 というように、選択適用できるのです。 |
インターネットに接続されたデジタル複合機 |
2006/12/18(Mon)
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平成18年の税制改正で、特別償却に関する改正はいくつかありますが、主なものとしては以下の2点が挙げられます。 @「情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却」の創設 (「情報通信機器等を取得した場合等の特別償却」の廃止) A「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却」の対象資産に「ソフトウエア」と「インターネットに接続されたデジタル複合機」の追加 @については、対象資産が大幅に変更となっています。 具体的には、ISO15408認証(セキュリティ対応)を受けたソフトウエア等に限定されています。(詳細は省略します。) Aのうち、ソフトウエアについては、除外されるもの(サーバー用OS、データベース管理ソフトなど)が列挙されていますので、対象資産の判定は比較的容易です。 これに対し、「インターネットに接続されたデジタル複合機」とはどういうものを指すのでしょうか? インターネットという言葉自体に幅がありますので、誤解されがちですが、社内ネットワークに接続されて使用されているというだけでは対象とはならないようです。 条文を読む限り、デジタル複合機自体が、外部との間でメールや画像等を送受信できることが必要だと思われますので、対象資産になるかどうかを判定するときはご注意下さい。 (参考:租税特別措置法施行規則 第20条の2の2 1項2号) |
特別償却とは? |
2006/12/11(Mon)
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前回の繰り返しになりますが、法人税法の規定に基づく減価償却のことを「普通償却」といいます。 それに対して、「特別償却」というものがあります。 特別償却とは、特定の設備等を取得し、使用を開始したときにおいて、普通償却とは別に上乗せして償却できる制度のことです。 例えば、3000万円の機械を取得した場合、普通償却限度額が500万円であり、特別償却限度額が取得価額の30%であれば、 普通償却限度額 500万円 特別償却限度額 900万円 (償却限度額) 1,400万円となります。 この制度は、中小企業対策などの政策的要請により、法人税法ではなく、「租税特別措置法」という法律により規定されています。 なお、租税特別措置法は時限立法ですので、すべての規定に「平成○○年○月から平成○○年○月まで」という取得時期の限定があります。 中でも、特に適用頻度の高い制度は以下の通りです。 (適用要件等については省略します。) @中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却 取得価額の30% A事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却 取得価額の30% B情報基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却(H18年新設) 取得価額の50% |
減価償却 |
2006/12/04(Mon)
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7月以降、断続的に税制改正の論点について説明してきました。 内容的に少し専門的になってしまったことを反省しています。 12月は、税制改正の最後の論点として、減価償却に関するものを取り上げたいと思います。 まず、減価償却ってどういうことなのでしょうか? こんな製造業の会社を考えてください。 売上 5000万円 原材料 2000万円 人件費 1000万円 機械代 3000万円(新規購入) この会社の当期の利益(もうけ)はいくらになるでしょうか? 現金の収支だけを考えますと、5000万円の収入から支出合計の6000万円を差引いた1000万円のマイナスとなります。 しかし、機械は当期だけでなく来期以降も使えるものですから、当期だけの費用とすべきではありません。 機械が3年使えるのであれば、購入金額の3000万円を3年で除した1000万円を当期の費用とすべきなのです。 この費用の分割計上の手続を「減価償却」と呼ぶのです。 これを踏まえて、上記の会社の当期の利益を計算しますと、 売上高 5000万円 原材料 2000万円 人件費 1000万円 減価償却費 1000万円 (当期利益) 1000万円 となります。 法人税法でも、この減価償却に関しては @取得価額 A耐用年数 B残存価額 C償却方法 などの細かい規定があり、これらに基づいて計算される減価償却のことを普通償却と呼びます。 |