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ふるさと納税
2007/05/28(Mon)
今回は、改正減価償却制度についての解説はお休みします。
今月、総務大臣が創設を表明したこともあり、「ふるさと納税」制度が話題となっています。
ふるさと納税制度とは、個人の住民税の一部を、生まれ故郷の地方自治体などに納めることができる制度のことです。
近年、都市部への一極集中により住民が流出し、過疎化が進んでいる地方自治体では、税収減が深刻化しています。
その結果、財政状態の逼迫している自治体などでは、医療・福祉などの重要な行政サービスまでもカットせざるを得ない状況にあります。
このような都市部と地方の格差を是正するために構想されているのが「ふるさと納税」制度なのです。
この制度の創設に対し、税収が減ると想定される都市部の知事などは、行政サービスを受ける住民が税を負担すべきという「受益者負担の原則」を根拠に反対しています。
しかし、私は彼らの意見には賛成できません。
私たちは誰もが、生まれてから職に就くまでの間は、「ふるさと」の自治体の行政サービスを受けていますが、通常は収入が無いので税負担はしていません。
その後、職に就き収入を得るようになってから、過去の行政サービスに対する対価として税負担をするというのも、「受益者負担の原則」に反しているとは言い切れないと思います。
それ以前に、自分の生まれ育った地域を大切にし、できる範囲で貢献したいという考えは美しく、尊重すべきだと思います。
ふるさと納税制度が導入された場合、少なくとも私は、兵庫県高砂市に住民税の一部を納付します。


改正減価償却制度(V)
2007/05/21(Mon)
前回の説例の定額法では、毎期の償却額は均等でした。
これに対し、定率法は毎期の償却額が逓減する償却方法です。
具体的には、期首簿価に一定の償却率を乗じて償却額を計算する方法であり、期首簿価は、償却を重ねるごとに小さくなりますので、償却額が徐々に減ってゆくのです。
--取得価額100万円の車両を償却率0.417(耐用年数6年)の定率法で償却する場合--
1年目の減価償却費 417,000円(取得価額1,000,000×0.417)
2年目の減価償却費 243,111円(期首簿価583,000×0.417)
3年目の減価償却費 141,733円(期首簿価339,889×0.417)
4年目の減価償却費  82,631円(期首簿価198,156×0.417)
5年目の減価償却費  48,173円(期首簿価115,525×0.417)
6年目の減価償却費  28,085円(期首簿価67,352×0.417)
となります。
今回の税制改正後も、定率法による減価償却額は基本的に上記算式によって計算されるのですが、以下の二点で従前と異なります。
@償却率の改定
改正後は、耐用年数経過時に取得価額の10%ではなく、残存簿価1円まで償却する必要がありますので、償却率は大幅にアップしています。
上記の説例は、改正後の6年の償却率0.417で計算されています。
改正前の6年の償却率が0.319であったことを考えますと、定額法の場合よりも、償却の大幅な前倒しがなされているといえます。
A保証率・改定取得価額・改定償却率という概念の導入
上記の説例では6年経過後も39,267円の帳簿価額が残っており、同様の計算方法で残存簿価1円まで償却するためには、あと20年ほど要します。
そこで、新たな定率法では、定率法によって計算した償却額が一定額を下回った事業年度から、定額法に切替えることとされました。
この一定額を償却保証額と呼び、取得価額に保証率を乗じた金額となっています。
耐用年数6年の場合、保証率は0.05776ですので、償却保証額は取得価額1,000,000円×0.05776=57,760円となります。
上記説例の5年目の金額は48,173円であり、償却保証額57,760円を下回りますので、5年目より定額法に切替えることになります。
切替後は、切替時の期首簿価を「改定取得価額」とし、それに「改定償却率」を乗じて、減価償却額を計算します。
説例の場合、耐用年数6年の改定償却率は0.500ですので
5年目の減価償却費 57,762円(改定取得価額115,525円×0.500)
6年目の減価償却費 57,762円(改定取得価額115,525円×0.500)
となります。
なお、償却率・改定償却率・保証率は以下の最終ページに記載があります。
http://www.nta.go.jp/category/pamph/houjin/h19/genkaqa.pdf


改正減価償却制度(U)
2007/05/14(Mon)
今回の減価償却制度の改正は、残存価額・償却可能限度額が廃止され、残存簿価1円まで償却できるようになったことに尽きると思います。
それでは、残存価額・償却可能限度額とはどんなものだったのでしょうか?
通常の有形固定資産の場合、残存価額は取得価額の10%、償却可能限度額は取得価額の5%でした。
簡単な説例を挙げます。
--取得価額100万円、耐用年数5年の機械を定額法で償却--
<改正前>:平成19年3月31日以前の取得資産
1年目の減価償却費 18万円
2年目の減価償却費 18万円  
3年目の減価償却費 18万円
4年目の減価償却費 18万円
5年目の減価償却費 18万円(この時点で残存価額10万円)
6年目の減価償却費 5万円(この時点で償却可能限度額5万円)
これで減価償却はストップし、売却・廃棄しない限り、5万円が帳簿価額として残ります。
<改正後>:平成19年4月1日以降の取得資産
1年目の減価償却費 20万円
2年目の減価償却費 20万円  
3年目の減価償却費 20万円
4年目の減価償却費 20万円
5年目の減価償却費 19万9999円
帳簿には備忘価額として残存簿価1円が残ることになります。
上記の減価償却費の年次推移からも明らかですが、実質的な減価償却の前倒しが図られていますので、事業者にとっては有利な改正ということができます。
また、定率法については特に大きな改正がなされていますので、次回以降で採り上げたいと思います。
なお、国税庁より4月下旬に「減価償却制度の改正に関するQ&A」が公表されています。
http://www.nta.go.jp/category/pamph/houjin/h19/genkaqa.pdf
実務の参考になると思いますが、少しマニアックかもしれません。


改正減価償却制度(T)
2007/05/07(Mon)
平成19年の税制改正では、減価償却制度について大幅な改正がなされています。
5月からは断続的に、改正後の減価償却制度について説明したいと思います。
以前、減価償却とは何かについて、簡単に説明しました。
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/diary.cgi?date=20061204
その中で、このような一節がありました。
−−−引用始−−−
法人税法でも、減価償却に関しては
@取得価額
A耐用年数
B残存価額
C償却方法
などの細かい規定があり、これらに基づいて計算される減価償却のことを普通償却と呼びます。
−−−引用終−−−
今回の改正では、主にBCについて重大な改正がなされています。
と言うよりも、Bの「残存価額」の概念そのものが無くなり、それに伴ってCの「償却方法」が改正せざるを得なくなったと言うほうが正しいでしょう。
具体的な内容は次回以降で解説します。


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